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源泉かけ流しは良?!循環濾過は悪?!

[2013-05-18]

温泉ソムリエマスター・温泉観光士の 沼尾柾志 です。

仕事柄、どの温泉がお薦めですかと多々問われます。

まずは目的、メンバー、日程、交通手段、食事レベル、予算を伺います。


例えばこんな方がいました・・・

目的は、夏休み家族旅行。
メンバーは、小学生のお子さん2名と奥さまとご本人。
日程は、7月下旬の最終土日。
交通手段は、電車。
食事は、周りに迷惑をかけられないので個室希望、アレルギーがある子供の為にある程度リクエストしたい。
予算は、1名1万5千円以内。
その他は、大きなプール、源泉かけ流し、奥さまの希望でアメニティー充実とエステも・・・


一般消費者の方は、
安くてコストパフォーマンスが良い宿を求められます。
この心理は当然です。

しかし、物には相場があります。

相場を下回るサービスは営利目的の企業であれば有り得ません。
行政ですら赤字であれば撤退する時代ですから。


上記のリクエストを叶える紹介できる旅館ホテルは、
全くと言ってよいほど思いつきませんでした。


食事のリクエストや個室希望とのことは、
お願いすれば幾つかありますが、
大きなプールなどがある旅館さんは殆どが大旅館さんは、
一日に数百人から千人以上の多くの御客様が宿泊されます。

そんな大きな旅館ホテルは、
浴場も大きくなり、その容積に合った湯量が必要となることは勿論、
人数が多く入る故、
浴場内に髪の毛や体毛、垢などがそれなりに溜まりますし、
ごみ量は宿泊者数に比例するものです。


源泉かけ流しは、
私も大賛成ですが、
一般消費者の方々に誤解があってはなりませんから私なりの温泉論を記事にします。


源泉かけ流しは、
加水しても加温しても可能で、
塩素等による消毒装置、循環装置を利用しない浴槽の温泉を云う事が主たる定義のようです。


加水も加温もしない、
100%天然温泉の浴槽は、
温泉としては理想形であります。


しかし、
源泉かけ流しの浴槽が「清潔」であるかと聞かれれば、
自信をもって「Yes]とは答えることはできません。


浴槽には、
上記の体毛など人間に付着するもの以外に、
自然界に浮遊する「ごみ」も当然存在します。


「ちりも積もれば山となる」、
浴槽内の規模や形状、お湯の流入、人の出入りなどにより、
ごみが溜まりやすい個所が存在します。


生まれながら温泉で育ってきた私は、
そういう部分もついついチェックしてしまいますが、
「源泉かけ流し」の浴槽でそういった、
「ちりの山」が溜まることが多いのです。


お客様がチェックアウトされた後、
すべての浴槽を完全に換水し、
底に溜まったごみを取り除きながら掃除して、
再び浴槽に温泉を流し込み湯を張ることを
チェックインまでのわずか数時間で行うのは、
至難の業です。

当然人件費もそれなりに発生しますし、
数時間で溜められるだけの湯量も必要となります。

上記のケースに該当するある旅館は、
一週間に一度月曜日に完全換水し掃除をするそうです。

人件費もかけられない、
源泉の量も少ない施設は、
当然「加水」「加温」「循環」「濾過」をせざるを得ません。

中には、毎分1リットルにも満たない湯量でありながら、
水道水の加水と加温循環で消毒装置などに頼り切り、
一か月も浴槽内を換水清掃しない施設もあるそうです。


源泉量も不足なく絶えず湯口から100%の源泉が出ている為「循環」する必要なし、
適温の為「加水・加温」なく湯量で温度はある程度調整できる、
浴槽内のちりやほこり、体毛などを除去するだかの目的の「濾過」をする、
2日に1度完全換水とろ過機の掃除を行い、
清潔とお湯の鮮度を一番に考える旅館さんもあります。

宿泊施設の目的は様々です。

  1. 宴会など歓楽や団体目的の宿
  2. お湯の良さを利用した湯治向け療養向けの宿
  3. リゾート向けの宿
  4. 家族や小グループ旅行向けの宿
  5. 料理やサービスを重視した宿
  6. 激安の宿
  7. 公共の宿
  8. 漁師や農家が経営する宿

などなどそれぞれ個性があります。


源泉かけ流し主義を上記のすべての宿に当てはめることは、
出来ません。


しかし、
多くの不特定多数の方々をお迎えする事に変わりはありません。


旅館ホテルの使命は、
「安全・安心をお客様に与えること」だと思っています。

安全とは、
「火災・天災」は勿論、
「食中毒」などの疾病に遭遇させない、
即ち「清潔」でありことも一理あります。


建物や施設が古くても新しくても「清潔感」を感じさせる旅館ホテルは、
お客様からの評価も高く頂いています。


不潔な源泉かけ流し風呂と清潔な沸かし湯の風呂をどちらを選ぶかといえば、
私は後者を選びます。


しかし、
清潔かどうか、
こまめに冠水し清掃しているかなどは、
内部の人間しかわからないことで、
宿泊者がわかるはずもありません。


中には、源泉かけ流しと表記しながら実際は違うところもありますし、
温泉でないのに温泉と謳う旅館もかつて存在しました。


最終的には旅館ホテルさんの経営姿勢が問われる問題ですが、
私は、温泉表記をもっとわかりやすくすることで、
消費者が目的次第で旅館ホテルを選択しやすくできると思います。


現在は、
加水しているか?
加温しているか?
消毒しているか?
循環しているか?
などの項目が浴場内に表記されていますが、
それぞれの意味や目的があいまいで、
消費者にわかりにくく伝わり誤解を生んでいます。

それぞれに深い意味があるからです。

温泉湯量が少ないためか?
温度が熱く適温にするための加水か?


温泉がぬるいため加温が必要なのか?
外気が寒い冬の時期だけ加温が必要なのか?
湯量が少なく加水するため加温が必要か?


湯量が少ないための循環濾過なのか?
ごみを濾過するだけの濾過装置なのか?


様々なケースによって意味が全く変わってきます。


結びになりますが、
個人的な考えと理想像ですが、
旅館ホテルなどは「清潔」を基本とし、
浴場における表記をもっとわかりやすく、
正直に謳って欲しいと思います。


かけ流しが良、循環が悪という考え方は、
ちょっと極端すぎますから、
その宿泊やりよう目的により消費者が誤解なく、
利用しやすいように、
宿独自の温泉に対する考えや利用方法をPRして欲しく思います。

温泉は日本の宝ですから・・・


追伸、
私が泊まりたい宿は古くても新しくても「清潔」な施設です!

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